第６号　2004.6.25

考える人，感じる人，学ぶ人　── 教育現場での禁煙について？

　世の中では十分議論を尽くさないまま重要な決定がいとも簡単になされることが有ります。「教育現場での禁煙」の決定もその一つの例ですね。潮流としては、人々が自然に受け止めるような方向性をもっていますので、奇異な現象と感じる人が少ないのは当然です。でもよく考えると、おかしい点が沢山あると思います。今回の「教育現場での禁煙」の根拠はと考えてみると
（ア）その人自身の健康に害があること。
（イ）煙草の嫌いな人に不愉快な忍耐を強い、かつ煙が他人の健康をも害するらしいこと。
（ウ）教育者が喫煙するのを見せることは教育上良くないこと。
　の３つが挙げられると思いますがこれらについて見ていきましょう。

（ア）健康への害について情報は十分に与えられているはずで、その上で覚悟して吸うことを責める根拠は何もないはず。煙草に限らず、身体に良くないことを承知で本人がやることを否定する権利は誰にもないでしょう。おせっかいも甚だしい。又、「長寿ほどめでたく短命なほど悪い」という世界中を覆う不文律にも勇気をもって疑いをさしはさまなくてはならないと考えます。
（イ）については一見筋が通っているように思えます。しかし自分の欲望のために他人に迷惑をかけたり危害を加えたりすることは悪であるという主張をするならば、自動車を運転することはどうなのか。車を運転する人は、ある確率で必ず人を殺したり傷害を与えたりすることを知っていながら、自分の利便優先で目をつむっているのではないですか。あれ程沢山の人が自動車事故で亡くなり、又傷害を負っているのに、自動車を運転することは自分も人も傷つける可能性があるからやめようという主張は今まで一度も聞いたことがありません。また、戦争はその最たるものであるはずなのに今我々の世界はそれを放置し、いやむしろ推進しようとまでしている。デモや反対運動はあっても国家的には戦争を認める方向に進んでいるのです。禁煙、嫌煙とヒステリックに叫ぶことは巨悪を見逃し続けている我々がそのざんげとして、又、代償行為として手近で攻撃しやすい小さな悪を紳士面して徹底的に取り締まるという一種の社会的なイジメ現象だと思いますが、皆さんはどう思われますか。
（ウ）喫煙が青少年に与える悪影響は私も認めます。子供が喫煙に走る原因を少しでも取り除くため、又教育的な指導をしやすくするという理由から教育現場での禁煙が決定されたのではないかと思いますが、全ての禁止事項を大人にも子供にも等しくするとまずい事例が沢山あるのではないですか。例えば「運転免許」「飲酒年齢」「結婚許可年齢」などなど数え上げればキリがないくらいです。大人が子供に手本を見せるべきだと言うのなら禁煙することよりももっと真剣に取り組まなくてはならないことが山ほどあります。大人の社会にも教育現場にだってイジメがあるはずです。子供たちが自分の身の回りのこと以外には無関心であることも大人のマネではないですか。ここでも（イ）で書いたのと同様取り組むべき大きな課題を放置しておきながら世の中に認められやすい喫煙という悪を攻撃して体裁を整えているだけのように思えます。

　以上いろいろ書いてきましたが、禁煙という世の中の潮流に反対しているわけではないのですが十分な議論がなされないまま禁煙についての決定がなされていくことには違和感を覚えずにはいられないのでいささか針小棒大のきらいはありますがそのまま掲載させていただきます。