第２１号　2003.12.30

考える人，感じる人，学ぶ人　── 受験をどうとらえるか

１．中学入試・高校入試・大学入試，いずれも「人生のいくつかの通過点のひとつにしかすぎない」ことを忘れないで下さい。言い換えると，受験や入試は人生の目的には絶対になり得ないということです。

２．とは言っても，幼児期，青年期の３年間や６年間，そこに所属し，そこに集まる人々（仲間達）と共に暮らし，学び合っていく訳だから，本人の人間形成に無視しえない大きな影響を及ぼすことは間違いありません。だからあまり浅はかで，安易な選び方をせず，なるべく「自分に合った所」，「自分のめざしたい所」を選んで欲しいと思います。「行き易いから行く」ではなくてね…。

３．中学入試の入試問題にはおおいに疑問もあるし，高校の推薦制度の矛盾点についても言及すべきことは多いのですが，長くなりますから割愛します。
　とにかく，現状がどうであろうと，君たちはどこかの中学校や高校に属さねばならない制度になっていますね。だとするなら，競争がある以上，問題がいくら多くても受験競争の渦に巻き込まれざるを得ません。ただし，当塾は創立以来ずっと，受験勉強もやるが，その努力が少しでも将来の学習に役立つような方法で授業をするよう心掛けています。「くっつけて，貼るような知識を訓練するのは厳禁」なのです。

４．それでも失敗は起こります。その時一番大切なことを，今から確認しておいて下さい。
（ア）悔いが残るだけなら最悪です。そんな状態の子を受け入れる公立中は大迷惑ですよね。（高校入試でも同じことが言えます）
（イ）多少の悔いが残っても，自分の受験までの道程が「やるべきことは，ほぼやれた。自分なりに精一杯の努力は行った。」と言えるかどうかです。── 失敗から学び取り，次の成長の糧にできるのは，そういう人達だけでしょう。「失敗は成功のもと」となるかどうかは，失敗に至るまでの過程によると言えます。
（ウ）１．にも書いてありますが，受験は人生の通過儀礼の１つにしかすぎない訳なのだから，失敗を余りに過大に受け止め，ふてくされたり，悪い行動に走ったりするのは最低です。人生を生きる道はいくらもあるし，誤解を恐れずに言えば学ぶことはいつでもできるからです。大きい視点からみると「されど受験」なのです。

５．学びに遅すぎるということはない。今この時からでも，せめていい受験，自分にとって有意義な受験となるよう意欲を燃やしてほしいと願っています。

〈塾長〉